夜明け告げるルーのうたを観た話。
舞台観劇の感想を書くつもりで開設したブログで一番初めに映画の感想を書いているわけなのだけれど、そこはまあ多めに見てもらいたいです。
「夜明け告げるルーのうた」という映画を観てきました。
きっかけはとある声優さん。もっとはっきり言うなら斉藤壮馬さん。
斉藤壮馬さんのファンだからというある意味不純な、でもすごく純粋な理由で映画を観てきました。
たしかにそこまで話題性があるわけではなかったけれど、とある田舎の映画館のレイトショーで、なんとお客さんは私一人だけ。なんだか貴重な体験をしてしまいました。
そんなことはさておき中身の感想を。
一言でいうなら面白かったし感動もしました。恥ずかしながら湯浅監督の作品を見るのはこれが初めて。でもあぁ、これが湯浅ワールドだろう、というものを痛いほどに実感しました。
音楽やダンスが好きな人はきっとすごくハマると思う。
序盤、というかOPで一気に作品に惹きこまれるようなノリのよさ。サントラ欲しい。
ストーリーは確かによくある話だと思った。
思春期の少年少女、ルーとの出会い、広がる世界、ひと夏の思い出。
某ジブリ作品を彷彿とさせるのは間違いない。でもそれとはまた違う、独特の世界観があった。
序盤に広げた伏線を見事に回収していくのは気持ちよかったし、その伏線の意味がわかって涙するシーンもあった。帰ってきてから考えさせられることも。
家に帰ってきてから思い出して泣いたのは初めてかもしれない。
ここからは過度なネタバレを含むのでご注意ください。
作中、涙を誘うシーンはいろいろとあったのだけれど(筆者の涙腺は驚くほど緩い)
一番泣けたのが、蛸婆、そしてカイのおじいさんのシーンでした。
蛸婆もおじいさんも大切な人を人魚のせいで失ったという。だから、人魚と関わってはいけないと序盤から言い続けていた。
でも終盤、おじいさんは気づいた。「人魚に噛まれると人魚になってしまう。」「人魚は陽に当たると燃えてしまう。」そういったキーポイントとともに思い出される幼いころの記憶。母親は人魚に食われたわけではないのかもしれないと。
一方の蛸婆は人魚の大群が押し寄せてくるときに、仇を討とうと船で沖へ出る。しかし、ルーには逃げられてしまう。
だがそこで蛸婆に声を掛けてきたのは人魚の姿になった昔の恋人。ここの表情の変化が良すぎてぼろぼろと泣いてしまった。蛸婆よかったね……。
母親のことを思い出しながらおもむろに沖へ船を出すおじいさん。水位が上がり水没しそうになっている町の人たちを助ける人魚たち。昇ってくる朝日に照らされれば消えてしまう。
ルーに朝日があたりそうになったその時、船にたくさんの傘をつけたおじいさんの姿が。そこから人魚たちは傘を使い始める。
そしておじいさんの母親の回想シーン、母親の身にあの時なにがあったのか。セリフはない。音と映像で魅せるあのシーンに心を打たれた。
他にも良いシーンいっぱいあったけど私の文章力じゃ伝わりきらないからこの辺で。
最後はハッピーエンドといっていいと思う。
余談ですが、日無町で日傘が作られていたのはもしかしてはるか昔の人々が人魚のために作っていたのか、あるいはおかげさまの祟りを恐れて作るようになったものなのか、そのへんは想像の余地があって楽しいところだなぁと。
日の無い街に日傘は必要ないもんね。
夏のはじまりにぴったりの素敵な作品に巡り合えたことに感謝です。
また見に行こう。